平成27年5月28日

東京都労働委員会事務局

 

S事件命令書交付について

 

当委員会は、本日、標記の不当労働行為救済申立事件について、命令書を交付しましたのでお知らせします。命令書の概要は、以下のとおりです(詳細は別紙)。

 

1 当事者

  申立人  X1ユニオン

  被申立人  社会福祉法人Y1

 

2 事件の概要

被申立人法人が運営する施設の訪問看護ステーションで、訪問看護師として勤務するX2とX3は、利用者の家族が訪問看護の記録を見たいと要求していることを伝え聞き、これが開示されると利用者と家族の関係が悪化するのではないかと不安になり、平成22年7月15日、申立人組合に相談し、同日加入した。7月16日、組合は、看護記録の開示の件など、業務に関する申入れを法人に行い、22日、法人は、開示予定がない旨等を文書で回答した。

その後、看護記録の開示や職場環境の改善等についての団体交渉が行われたが、法人は、組合の質問や要求に対し、「業務の中で回答する。」、「個人情報のことをもとに話はできない。」などと発言した。

法人は、その後三回にわたり文書を組合に交付し、その中で組合が団体交渉で利用者の個人名を発言したこと等について、組合及び組合員に対し、守秘義務及び個人情報保護義務の遵守を求めた。

  23年3月31日、法人は、管理者不在のため、訪問看護ステーションを休業した。

  本件は、@本件団体交渉における法人の対応が、不誠実な団体交渉及び組合の運営に対する支配介入に、A法人が交付した一連の文書が、組合の運営に対する支配介入に、B法人が23年3月31日に訪問看護ステーションを休業したことが、組合の運営に対する支配介入に、それぞれ当たるか否かが争われた事案である。

 

3 命令の概要

<主文>本件申立てを棄却する。

 

4 判断のポイント

 ⑴ 本件団体交渉で議題となった看護記録の開示問題は、利用者の個人情報に密接に関連し、団体交渉には法人の職員ではない組合員が出席していたことからすると、法人が、利用者の個人情報が第三者に伝わることを懸念して、業務の中で話し合おうとしたことも、やむを得ない状況にあったといえる。そして、法人は、業務において、団体交渉で組合から指摘があったことについて協議し、対策を講じており、法人の対応は、不誠実な団体交渉に当たるとはいえない。

⑵ 法人が組合に交付した一連の文書の主な内容は、組合が団体交渉で利用者の個人名を発言したこと等について、守秘義務及び個人情報保護義務の遵守を求め、法人の見解を述べるにとどまるものであり、その記載内容も、法人が定める個人情報保護規程等の趣旨に沿ったもので、殊更、組合活動を制約するものとは認められず、組合の運営に対する支配介入には当たらない。

 ⑶ 訪問看護ステーションが休業に至った経緯には特段不自然な点はなく、求人の募集条件に管理者経験者との条件を付したことについては、当時、同ステーションでの職員間の対立が深刻化していた状況を考慮すれば、法人が管理者の人選について慎重になったことにも相応の理由があるといえる。その上、組合員を含む非常勤看護師全員に対し継続雇用の機会を提示し、X2については、訪問看護ステーションと同じ施設内で引き続き雇用していることを併せ考えると、法人が同ステーションを休業したことが、組合の運営に対する支配介入に当たるということはできない。

問い合わせ先

労働委員会事務局審査調整課 

電話 035320699003-5320-6979