【別紙】

 

1 当事者の概要

⑴ 申立人組合は、会社の乗務員が結成した労働組合であり、本件申立時の組合員数は10名で、全員が申立外X組合にも加入している。

⑵ 被申立人会社7社は、タクシーによる一般旅客事業等を業とする株式会社であり、東京を拠点にするKmグループに所属している。

   

2 事件の概要

会社は、タクシー乗務員の65歳の定年後の雇用を労働組合との労働者供給契約によることとし、会社乗務員のみで構成されている労働組合とは労働者供給に関する基本契約を締結していた。

しかし、会社は、別件未払賃金等請求訴訟を提起している乗務員らの加入するX組合については、同組合の執行委員長が他のタクシー会社に勤めているとして、基本契約を締結しなかった。

そこで、X組合に加入している会社乗務員は、組合を結成し、281030日、会社に対して、基本契約の締結を要求したが、29年1月23日、会社は、組合がX組合と同一であるとして、これを拒否した。

本件は、会社が、組合と基本契約を締結しないことは、組合員であるが故の不利益取扱い及び組合活動に対する支配介入に当たるか否かが争われた事案である。 

 

3 主 文(全部救済命令)

〇 会社7社は、組合と、労働者供給に関する基本契約を締結すること。

〇 前項の履行報告

 

4 判断の要旨

   会社がX組合との基本契約の締結を拒否した本当の狙いは、X組合が取り組んでいる未払賃金訴訟提起の組合活動を阻害し、その中心人物である執行委員長を会社から排除するとともに、未払賃金訴訟の原告となっている同労組の組合員らに対して定年後に再雇用しないという不利益を与えることであるとみるほかない。

   会社は、X組合が組合に影響力を及ぼしているものと考え、X組合を嫌悪したのと同じ理由で組合を嫌悪するとともに、組合の組合員が全員未払賃金訴訟の原告となっていることから、未払賃金訴訟提起の活動を阻害し、その原告である組合員らに対して定年後に再雇用しないという不利益を与えることを企図して、組合との基本契約の締結を拒んだものといわざるを得ない。

   会社は、組合とX組合は実質的に同一であると判断し、基本契約の締結を拒否したと主張する。

  そもそも、会社がX組合との基本契約締結を拒否することに合理的な理由は認められないから、X組合と組合が実質的に同一であったとしても、基本契約の締結を拒否する理由とはならない。

  組合は、独自の規約をもち、執行委員長等の役員を選出し、執行機関、決定機関を有する等自主性を持ち、独自の財源を持ち、独自の活動を行っているもので、独立した組合と認められる。

⑷ 不当労働行為の成否

会社は、未払賃金訴訟を提起した組合員らを会社から排除するために、およそ合理的とはいえない理由を述べて組合との基本契約を締結しなかったものといわざるを得ない。この会社の対応は、未払賃金訴訟の提起という組合活動を阻害し、組合に不利益を与えるものであり、個々の組合員に対しても定年後の雇用が奪われるという不利益を与えるものである。

したがって、会社が、組合と基本契約を締結しないことは、組合員であるが故の不利益取扱い及び組合活動に対する支配介入に当たる。

 

 

5 命令交付の経過 

    申立年月日     平成29年6月19

   公益委員会議の合議 平成3011月6日

   命令交付日     平成301210