令和元年8月21日

東京都労働委員会事務局

M事件命令書交付について

 

 当委員会は、本日、標記の不当労働行為救済申立事件について、命令書を交付しましたのでお知らせします。命令書の概要は、以下のとおりです(詳細は別紙)。

 

1 当事者 

申立人 X1(組合)

     X2(組合)

被申立人 Y1(学校法人)

 

2 争点

 ⑴ 組合による平成28年1月14日付け、3月7日付け、6月7日付け、同月17日付け、7月13日付け、9月12日付け及び1111日付けの東京事務所を開催場所とする各団体交渉の申入れに対し、法人が、開催場所を浦安キャンパス又は坂戸キャンパスに限定する旨を回答し、東京事務所での開催を受け入れなかったことは、正当な理由のない団体交渉の拒否及び支配介入に当たるか否か(争点1)。

⑵ 法人が、平成28年3月3日、組合が浦安キャンパスの非組合員を含む約200名の教職員宛てに郵送した組合ニュース入りの封書を各教職員に引き渡さず、また、既に教職員に引き渡した封書を回収したこと、並びに組合が浦安キャンパスの教職員宛てに組合ニュースを郵送したことについて、組合及びその執行委員長らに対して厳重注意を行ったことは、それぞれ支配介入に当たるか否か(争点2)。

 

3 命令の概要 <全部救済>

⑴ 組合側には、浦安キャンパス又は坂戸キャンパスにて団体交渉を開催することには支障があることが認められ、組合はこの点について資料を示して法人に説明している。しかし法人は、かつては自らが開催を希望し、26回の開催実績がある東京事務所での団体交渉開催を合理的な理由もなく拒否しており、また、交互開催という組合の譲歩案に対しても一顧だにせずに拒んでいる。以上からすれば、法人の対応は、組合側に支障のある開催条件を押し付けようとしたものとみざるを得ない。よって、不誠実な団体交渉に当たるとともに、組合運営に対する支配介入にも当たる。

⑵ 組合ニュース入りの封書を浦安キャンパスの教職員へ郵送した行為は、組合にとって重要な活動である。そして、法人の対応は、組合の行為により法人の業務に具体的な支障が生ずるとは認め難い中で、職員協議会発足のお知らせ等の個人的郵便物とは異なる取扱いをした点において合理性に乏しい。そうすると、仮に組合の行為が就業規則に抵触すると解釈したとしても、法人の対応は、法人施設内での組合活動を勤務時間の内外を問わず一切禁止する旨を言明していた法人が、その意思を貫徹するために行ったものとみるべきであり、組合活動の抑制、弱体化を意図したものである。よって、法人の対応は組合運営に対する支配介入に当たる。

⑶ 法人は、開催場所を浦安キャンパス又は坂戸キャンパスに限定せずに団体交渉に応じること、組合運営に支配介入しないこと及び文書(要旨:不当労働行為であると認定されたこと。今後繰り返さないように留意すること。)の掲示を行うこと。

 

<参考>

命令に不服がある場合、当事者は次のいずれかの手続をとることができる。

・中央労働委員会に再審査申立て(申立人及び被申立人15日以内)

問合せ先

労働委員会事務局審査調整課 電話03-5320-6986

 
・東京地方裁判所に取消訴訟を提起(被申立人30日以内、申立人6か月以内)